私は前回、少し調子に乗って喋りすぎました。『宣言』の後半部分は、完全に本題から逸脱していました。インターネット上に仮想現実の世界を作り、そこにアイドルの王国を築くだなんてことは、今の段階じゃ夢物語です。そんな空想めいた話をしていたら、私は皆さんに愛想を尽かされます。円城院徹は頭がオカシイ、こんな男は相手にしない方がよい、と。

 ですから今日は、なるべく本筋から外れぬようにして、『宣言』を進めます。ヴァーチャルな世界の話はやめにして、もっと現実的で有意義な、生産性のある話をします。アイドルとファンの理想とする社会を、この現代日本で、いかにして建設するのかという話を。

 日々の暮らしの中に、ゲームをする喜びを取り入れる


 インターネット上にアイドルの王国を作る、それはいかにもSFチックで夢のある話です。が、それと真逆のことを、私たちの生きるこの日常社会で実行できないものか、私はそう考えるのです。つまり、仮想世界の中に、私たちの生活空間を築くのでなく、私たちの生活空間の中に、仮想世界を築くのです。言い換えると、二次元世界の中に三次元世界を取り込むのでなく、三次元世界の中に二次元世界を取り込むのです。

 アイドルとは虚構の存在です。マンガやアニメのキャラクターと同様、人々の妄想の内に、イメージが形作られます。なのでそのままだと、現実との間にギャップを生みます。人の手で作られた偽りの偶像の座から、一歩も抜け出せないのです。
 よって、アイドルを社会の表舞台に引き上げるのは、思いのほか難しいです。アイドルに懐疑的な目を向ける者は、世の中にいくらでもいます。当のアイドル本人ですら、冷静になってみると、自分のやっていることの愚かさを悟ります。無意味で無価値なことのために、労力を費やしていると、そう思わざるを得ないのです。

 私はそれでも、アイドルギルドならば、虚構と現実のギャップを埋められるものと信じています。人々が現実の生活を営みながら、アイドルとともに現実ならざる体験をし、そこから生じる力により、現実世界を作り変える、アイドルギルドは、そうした偉業を果たさんとしています。

 ビジネスの鍵を握るのは、ゲーミフィケーションの原理です。日々の暮らしの中に、ゲームをする喜びを取り入れて、人生をポジティブなものとする、そうした事業を実行すれば、私たちは現実世界と虚構世界を統合できます。人々が日常の生活を送りながら、非日常の世界を生きる、そういう方向に持っていくのです。その際、私たちはアイドルという、日常と非日常を越境する存在を、何の抵抗もなく受け入れます。これまではアイドルをうさん臭いものとして見ていた人々も、これからはそんなことがなくなります。アイドルの放つオーラ、人を照らし、社会を照らす、その特別な輝きを、感じ取るようになります。アイドルは人々にとり、身近でありつつ、崇高な存在です。私たちの近くにいて、私たちと共に道を歩みながら、私たちの道標ともなってくれます。アイドルがいてくれるおかげで、私たちは自由に、豊かに暮らせます。

 ゲームを楽しみ、人生を楽しむ


 私たちは、自分のゲームを自分が作り、自分がプレイします。人と人が接すること、社会と関わること、それはすべてがゲームです。勉強をし、仕事をし、遊びをし、恋愛をする、それらもまた、ゲームです。私たちはこの地上に、ゲームプレイヤーとして存在します。私たちの感情、私たちの思考、私たちの行動、それらは一切が、ゲームによりプログラムされます。私たちの体験すること、私たちの周辺で起きること、それらもゲームのプログラムです。

 私たちが行うゲームの中心には、いつもアイドルがいます。アイドルの王国とは、すなわち、ゲームの王国です。アイドルがアイドルのビジネスを通じ、私たちに人生の楽しさを教えてくれます。人として生きること、社会生活を営むこと、それは何と快いことでしょう。この世で起こる一切の現象が、私たちの身に、驚きと感動をもって迫ります。そして、世界に奇跡が起こります。人々が続々とアイドルの事業に参入し、社会を作り変えます。それまで困難であったことが、困難でなくなり、楽しいことが、よりいっそう楽しくなります。
 なぜなら、それらはすべて、ゲームだからです。ゲームが私たちに与えるミッション、それはただ一つ、人生を楽しむことです。争いのない社会は面白くないです。障害のない人生は生きるに値しません。日常の生活で起きる、さまざまな出来事、悲劇や惨事、災厄も、私たちを決して屈服させられません。私たちは何度倒れても、そのたびに起き上がります。どれだけ運命に弄ばれても、それで生きる気力を失いはしません。私たちの存在する理由、それはゲームをプレイすることの中にあります。ゲームをやりさえすれば、私たちには、無尽蔵のエネルギーが与えられます。運命のどん底から這い上がる時、私たちは、ただ前だけを向きます。逆境を乗り越えるたびに、ゲームポイントが上昇し、私たちを強力なプレイヤーにします。平凡な人生はつまらぬものです。変化のない生活にはアクビが出ます。人生が波乱万丈であれば、いついかなる時も、自分がゲームの主人公でいられます。

 アイドルを生ける伝説へと育てる


 私たちの人生に無駄はないです。私たちの直面するどんな試練も、私たちの境涯を豊かなものにします。私たちは、ゲームに習熟し、日毎に成長します。ゲームに勝つ、ゲームに負ける、それは表面的な現象です。私たちはゲームに勝利することと、ゲームに敗北することの、そのどちらからも、人生経験を上積みできます。私たちの獲得するポイントには、目に見えるポイントと、目に見えぬポイントがあります。そのいずれもが、私たちをより高いステージへ押し上げます。私たちは、人跡未踏の大地を進み、ゲームのフィールドを開拓します。その上で、人類の進化に貢献します。

 その真実を教えてくれるのは、アイドルです。アイドルこそが、私たちにゲームをすることの喜びを教えてくれます。人と交わり、社会を建設する、その楽しみを一度味わったら、もうそこから抜け出せません。私たちは、楽しいこと、嬉しいこと、悲しいこと、腹立たしいこと、それと、人を憎むことをすら、ゲームをする醍醐味とします。運に恵まれる者も、運に恵まれぬ者も、ともにゲームのフィールドに立つ戦士です。彼らは、夢と冒険の荒野を駆け巡る、勇者です。すべての者が、伝説の登場人物であり、ゲームを形成する上での、欠くべからざるプレイヤーです。存在する意味のない者はおらず、すべての人間に存在する理由があります。だから、決してゲームを投げ出しません。ゲームを続けさえすれば、私たちは、平凡な人生でなく、非凡な人生を歩めるのです。

 そのように考えると、私たちはサイバースペースを必要としません。そんなものがなくとも、日常生活の中で、いくらでも理想の社会を築けます。サイバースペースがいかに巧妙に作られ、刺激と興奮に満ちたものでも、それはとどのつまり、仮想社会でしかないです。それは私たちの意識を内向きにさせるものであり、人と人のつながりを断絶させるものです。けれども、仮想社会でなく、現実社会の中に、アイドルの王国を築くのであれば、私たちは、自らの人生を作り変えて、自らの夢を実現できます。私たちは日々の営みを強化し、生きることの充実感を得ます。私たちの意識は内向きになりません。私たちの意識は外に向けられます。虚構の持つ強みと現実の持つ強み、その両方を活かし、精神的な利益と物質的な利益を、ともに享受します。アイドルとファンはアイドルの王国で、その一人ひとりが自立しながらも、社会全体で一つの人格を形成します。それはゲームを推進する力として働き、アイドルを生ける伝説へと育てます。彼らの発する言葉、彼らのとる行動、それら一切が、ゲームの沃野を押し広げ、彼らの体験すること、彼らの周辺で起きること、それら全部が、ゲームを進展させるための礎(いしずえ)となります。

 プロの事業者にやれぬことを、素人の私たちがやってのける


 それもこれも、すべては私たちが行動を起こしたればこそです。私たちが何もしなければ、私たちの人生は何も変わりません。これまで通りに退屈で、平凡な日常が続くだけです。事業者たちの商売に担ぎ出され、いいように操られる、ただそれだけの毎日です。でも私たちが行動を起こせば、そこから一切が変わります。事業者に操られるだけの存在から、自分が事業者を操る存在へと、進化を遂げます。

 それは簡単な作業じゃないです。途方もなく長い道程です。が、そうかといって、不可能なことでもないです。私たちが、私たちの全精力を、自らの事業に費やせば、私たちは私たちの人生を改善し、私たちの住む世界をアイドルの夢の王国に変えられます。それもその筈です。アイドルに注ぐ、私たちの情熱は、事業者たちのそれと比較になりません。私たちはアイドルのためなら、どんなことでもやります。泥水をすすることだって、針の山に登ることだってできます。一人ひとりの情熱ですらそうであるのに、それが数をなして、数千人、数万人、数十万人という規模に達したら、その潜在力は計り知れません。アイドルを育てること、アイドルを売り出すこと、それは造作ないです。日本中のアイドルを集結させ、業界の改革に向けて立ち上がらせることも可能です。プロの事業者にやれぬことを、素人の私たちが、やってのけるのです。

 といって、私はアイドル界の支配を目論んでいるのじゃありません。私はむしろ、アイドル界を旧来の支配体制から解放しようとしています。アイドルにアイドルとしての権利を与え、アイドルとしての尊厳を与える、それとともに、ファンに対しても、同等の権利と尊厳を与える。アイドルとファンに、それを与えるのは、この私でもなければ、アイドルギルドでもありません。アイドルとファンが、自分で自分に権利を与え、自分で自分に尊厳を与えるのです。彼らには、それを果たす力があります。今はまだその力が眠っていて、自分の持つ可能性の大きさに誰も気づいていませんが、この先、その状態を脱し、自分で自分の進む道を切り拓くようになれば、そこから彼らの運命が変わります。彼らはもはや、他人の言いなりになりません。地面に押さえつけられ、這いつくばっていた彼らが、大地を蹴って飛び上がり、天高く飛翔します。

 それをするには、仮想世界じゃ無理です。私たちは、どうしても現実世界でそれを果たさねばなりません。私たちは、頭でものを考えるだけでなく、実際に体を動かし、社会を築きます。行動を起こすところから、すべてが始まります。思い切って一歩を踏み出せば、それで事業を半ばやり遂げたも同然です。
 私たちには、アイドルの力があります。その力は、私たちに無限の可能性を与えてくれます。それを信じて事業を行えば、私たちには恐れるものがありません。私たちはどんな苦難だって乗り越えます。アイドルがいて、ファンがいる、それだけで、私たちは、私たちの力を信じられます。自らが奇跡を起こすことを望み、それに向かって進む時、私たちの眼前には、洋々たる前途が開かれます。

 では本日は、このあたりで。また明日お会いしましょう。



                           令和元年 5月25日       円城院徹



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